アニをん評価 ★★★★☆(80)
●原作 奥浩哉
●アニメーション制作 MAPPA
●放送期間 2017年(全11話)
あらすじ
定年を間近に迎える冴えないサラリーマン・犬屋敷壱郎は
会社や家庭から疎外された日々を送っていたが、
ある日突然、医者から末期ガンによる余命宣告を受け自暴自棄になる。
その晩、突如飛来したUFOの墜落に巻き込まれ
機械の体に生まれ変わった彼は
人間を遥かに超越する力を手に入れることに。
一方、同じ事故に遭遇した高校生・獅子神皓は、
手に入れた力を己の思うがままに行使し始めていた。
自分の意に背く人々をただただ傷付けていく獅子神と、
獅子神によって傷付けられた人々を救い続ける犬屋敷。
人間の本質は善なのか、それとも悪なのか…?
強大な力を手に入れた2人が、いま、それぞれの想いで動き出す――。
人間のサイボーグ化という禁断のSF設定
この作品はアニをんも原作マンガをリアタイで読んでいました。
作者は「GANZ」で知られる奥浩哉さん。
やはりこの方の設定は面白い!人間がある日突然ロボットに・・・なんてのは昔から存在する設定です。(鉄腕アトムや鋼鉄ジーグなどがいい例ですね)
ある日宇宙人に身体をサイボーグ化された、というくらいではアニをんも特に心を動かされることはないでしょう。
作者の凄いところは、主人公設定が冴えない初老男性であること。これには当初から「( ゚д゚)ポカーン」でした。
主人公というと普通は若い男性やそれこそ高校生など、比較的若い年代の少年少女が抜擢されがち。
誰が冴えない初老の男性サラリーマンを主人公にしようと考えるでしょうか。
当時原作を読んでいて、その設定からすでに引き込まれてしまっていたアニをんです。
あらすじにも記載ありますが、それぞれ年代や立場の異なる2人がサイボーグ化し、自分の信念に基づいて力を行使していきます。
まさに壊すか救うか、対極な考えを持っている2人がいざ激突!! といった作品になっています。
いわば、ジジイVS高校生 ですね。
原作から拝見していて、これをアニメ化するのは難しいだろうと思っていましたが、見事にやってくれています。特にサイボーグ部分の演出については目を見張るものがありますね。現在のアニメーション技術は本当にすごいと実感させられます。
人々の感情描写が恐ろしいほどリアル
はい、これも奥先生の凄いところ。登場人物たちの感情の表現がヤバいくらいリアル。
「もし自分が、ある日突然危険な状況に出くわしたら?」
どういった思考を巡らせて、どういった言葉を発して、どういう行動に出るのか。それをとんでもなくハイレベルな次元で忠実に再現されていると感じました。
自分がそういう立場に置かれたならばきっとこうする、という人間らしい演出が多くありますので、きっと感情移入しやすいアニメになっているはずです。
ただ作品の設定上、獅子神くんの暴走により多数の被害者が出ますが、アニメではそういった描写も細かく描かれています。
感情描写が緻密なだけに、かなりの胸糞シーンになりますので、苦手な方は注意です。
少しまとめすぎてしまった感アリ
原作版は人間ドラマがかなり深く作り込まれていた印象を受けていましたが、アニメ版は若干それが割愛されていたシーンが多くあったかなと思いました。
1クールの中でまとめるとなると、仕方ないよな~という感じもしますが、やはり「どうしてこういう行動を選んだのか」そこに至るまでの葛藤などをもう少し詳細に描いてほしかったなという思いはありました。
結論 このアニメはおすすめ?
普通に面白い。サイボーグシーンは芸術的だが、胸糞シーン多いので苦手な方注意。
少々はしょってしまった感ありますが、それでもかなり面白い出来になっていると思います。
ただ胸糞シーンありますので、苦手な方はご注意を。
個人的にはアニメを知っていただいて、それから原作を読んでいただくことをおすすめします。
(木梨憲武さんと佐藤健さんW主演で実写映画化してるので、かなりの知名度はあると思いますが)
OP/ED
OPテーマ MAN WITH A MISSION 「My Hero」
いぬやしきの作風的にマッチしそうなかっこいいロック曲。
EDテーマ クアイフ 「愛を教えてくれた君へ」
本作品の切ないヒューマンドラマの情景を想起させるような曲調。個人的に凄い好きですこれ。